フランク・ロイド・ライトとは

Frank Lloyd Wright

フランク・ロイド・ライト

フランク・ロイド・ライト(1867年~1959年)

フランク・ロイド・ライトについて

フランク・ロイド・ライトは、アメリカの建築家であり、ル・コルビュジェ、ミース・ファン・デル・ローエとともに近代建築の三大巨匠の一人として数えられる、世界で最も著名な建築家の一人です。
終生一貫して、より豊かな人間性の保証に寄与する建築、つまり「有機的建築」の理想を追求し続け、生涯に1191にものぼる作品を遺し、その内の460作品が実現されました。

彼が生涯をかけて唱え続けた『有機的建築』は、現代もなおその輝きを増して、我々の心に訴えかけるものであり、無機質になりがちな現代において、より人間的な豊かさを提供してくれる建築思想ではないでしょうか。

日本での作品

母国アメリカ以外で唯一彼の作品が現存する日本には彼の建築に心酔する数々の才能が生まれ、帝国ホテルの建築にチーフアシスタントとして従事した遠藤新や、その子である遠藤楽など正統の系譜を連ねています。 また、帝国ホテルの製図担当として来日したアントニン・レイモンドはそのまま日本で独立、建築事務所を主宰し、日本建築を牽引する優れた弟子たちを育てるとともに、モダニズム建築を世界に発信しています。
そして、今もフランク・ロイド・ライトの弟子たちが暮らし、学ぶ建築スクール「タリアセン」、「タリアセン・ウエスト」は世界中からの来訪者がひきもきらず、日本からの学生も後を絶ちません。 「自然と建築との融合」を提唱したフランク・ロイド・ライトの思想は今なお、次の世代へと引き継がれ、世界に愛され続けているのです。

帝国ホテル

東京都千代田区
1923年
現在愛知県犬山市博物館明治村に
中央玄関を移築

自由学園明日館

東京都豊島区
1921年
国指定重要文化財

ヨドコウ迎賓館(旧山邑太左衛門邸)

兵庫県芦屋市
1918年
国指定重要文化財

バイオグラフィー

Year Biography Works
1867 6月8日、宣教師であり音楽師でもあった父ウィリアム・ラッセル・キャリー・ライトと母アンナ・ロイド・ジョーンズ・ライトの第一子として、ウィスコンシン州リッチランド・センターに生まれる。  
1887

シカゴにてジョセフ・ライマン・シルスビーの事務所に製図工としての職を得る。

その後、アドラー&サリヴァンの建築事務所で働くようになる。

 
1889 結婚を機に自邸を建築。 自邸(イリノイ州オークパーク)
1890 アドラー&サリヴァン事務所で扱う住宅設計をすべて担当する。  
1893 イリノイ州シカゴで建築事務所を開設。 ウィンズロー邸(イリノイ州リバーフォレスト)
1894 フランク・ロイド・ライトの作品に関する最初の展示会がシカゴ建築クラブで開催される。  
1902  

ウィリッツ邸(イリノイ州ハイランドパーク)

ハートレー邸(イリノイ州オークパーク)

1903   ラーキンビル(ニューヨーク州バッファロー)
1905 ライト夫妻が日本を初めて訪れる。
フランク・ロイド・ライトは日本の美術品、特に版画の美しさに魅せられる。
ユニティ教会(イリノイ州オークパーク)
1906   ロビー邸(イリノイ州シカゴ)
1907   クーンレー邸(イリノイ州リバーサイド)
ハント邸(イリノイ州ラグランジュ)
1909 作品集出版の準備のためヨーロッパへ向かう。  
1910 ベルリンのヴァスムート社より作品集が出版され、即座にドイツとオランダの建築家に大 きな影響を与えることとなる。  
1911 帰国後ウィスコンシ州スプリンググリーン近くに新しい家とスタジオであるタリアセンの建設を開始。 タリアセン(ウィスコンシン州スプリンググリーン)
1913 帝国ホテルの設計依頼の件で、再来日。  
1915 帝国ホテルの設計第一案が完成。  
1917   林愛作邸(東京都世田谷区)
1918 帝国ホテルの絨毯を探すため中国へ旅行し、学者のク・フン・ミンに会い、北京の建築物を見学。 山邑太左衛門邸(兵庫県芦屋市)
※国指定重要文化財(現ヨドコウ迎賓館)
1921   自由学園明日館(東京都豊島区)
※国指定重要文化財
1923 9月、関東大震災が東京を破壊するが帝国ホテルは残る。 帝国ホテル(東京都千代田区)
※現在愛知県犬山市博物館明治村に中央玄関を移築
1927

「建築のために」という見出しでアーキテクチャルレコード誌に14編の記事を1927年から1928年の間執筆。

ベルギー王室美術協会名誉会員に選ばれる。

 
1929 ベルリンの学士院名誉会員になる。  
1930-31 大規模な展示がアメリカとヨーロッパ(ドイツ、オランダ、ベルギー)で行われる。  
1932 タリアセン・フェローシップを創設。
『自伝』、『消滅する都市』を出版。
フランク・ロイド・ライトの作品が含まれた『インターナショナル・スタイル』展覧会がニューヨーク近代美術館で開かれる。
ブラジル、ナショナルアカデミー名誉会員。
 
1936   カウフマン邸<落水荘>(ペンシルバニア州ミルラン)
ジェイコブス邸Ⅰ(ウィスコンシン州マディソン)
1937 世界建築家会議参加のためソビエトへ旅行。
ベーカー・ブラウネルとの共著『建築と現代生活』が出版。
タリアセン・ウエスト(アリゾナ州スコッツデール)
1938 『アーキテクチャル・フォーラム』誌1月号がフランク・ロイド・ライト特集を組む。
フランク・ロイド・ライト、タイム誌の表紙を飾る。
 
1939 ロンドンにてサルブレーブ・メイナー・ボードでの連続講演を行う。
この講演は後に『有機的建築』として出版されることとなる。
ウェズリアン大学名誉芸術修士。
スタージス邸(カリフォルニア州ロサンゼルス)
1940 ニューヨークの近代美術館で大規模な個展『フランク・ロイド・ライトの作品』が開催される。  
1941 英国王位建築家協会名誉会員。
King George VIより英国建築ロイヤルゴールドメダル授与。
フレデリック・グートハイムとの共著『建築について』出版。
 
1943-59   グッゲンハイム美術館(ニューヨーク州ニューヨーク)
1944   ジェイコブス邸Ⅱ(ウィスコンシン州ミドルトン)
1945 『民主主義が確立するとき』を出版。  
1947 プリンストン大学名誉芸術博士。  
1949 アメリカ学士院名誉会員。
AIAゴールドメダル。
AIAフィラデルフィア支部ゴールドメダル。
ピーター・クーバー芸術振興賞。
 
1950 フロリダ・サザンカレッジ名誉博士。  
1951

大規模な展示『生きている建築の60年』をフィラデルフィアのギンベルデパートを皮切りにフィレンツェのパラッツォ・ストロッツで開催。

フィレンツェ市よりパラッツォ・ベッキオにて、メディチメダルを授与される。
イタリアよりヴェニス総督邸にてStar of Solidarityを授与される。

 
1953 ストックホルム王立芸術学士院名誉会員。
フィンランドナショナルアカデミー名誉会員。
『建築の将来』を出版。
 
1954

フィラデルフィア・フランクリン協会から表彰状とブラウンメダルが授与される。
イェール大学芸術名誉博士。
『ナチュラルハウス』出版。

 
1955 ウィスコンシン大学より芸術名誉博士。ドイツダルムシュタット工業大学名誉博士。
スイスチューリッヒ工業大学名誉博士。
エドガー・カウフマン編集『アメリカンアーキテクチャー』出版。
 
1956 ウェールズ大学名誉博士。
『ストーリー・オブ・ザ・タワー』出版。シカゴのリチャード・デイリー市長は10月17日を「フランク・ロイド・ライト」の日にすることを宣言。
 
1957 『テスタメント』出版。
文化センターデザインのためイラクバグダッドへ招待される。
マリン郡シビックセンター
(カリフォルニア州サン・ラファエル)
1958 『生きている都市』出版。  
1959 4月9日、アリゾナ州フェニックスにて逝去。  

フランク・ロイド・ライト財団

フランク・ロイド・ライト財団は、フランク・ロイド・ライトの生涯にわたる業績のアーカイブズ(保存機関)として1940年に創立されました。 フランク・ロイド・ライト財団はアリゾナ州スコッツデールのタリアセン・ウエストで国際本部として機能し、有機的建築の思想と基本コンセプトの普及に従事するとともに自然環境の保護を使命としています。
また、フランク・ロイド・ライト建築学校では、彼の生涯にわたる業績と設計思想を継承し、一般の人々も有機的建築を体験し、学ぶことを可能にしています。

 

Images of Taliesin West are perminnion of the Frank Lloyd Wright Foundation.
PHOTO : JAPAN ORGANIC ARCHITECTURE

財団の使命

フランク・ロイド・ライト財団は、フランク・ロイド・ライトの業績ならびに有機的建築の思想の継承、教育及びタリアセン、タリアセンウエストをはじめとする建築物の保存にあります。

活動内容

タリアセン(ウィスコンシン州、スプリンググリーン)及びタリアセン・ウェスト(アリゾナ州スコッツデール)の2つの歴史的建造物を継続的に運営、維持及び保存しています。
アーカイブスはフランク・ロイド・ライトの22,000以上の図面、300,000通以上の文書、作品や美術品などを保存しています。
フランク・ロイド・ライト建築学校(1932年設立)では学士号と修士号の学位を取得することができます。
フランク・ロイド・ライトの作品の歴史的価値や数多くのデザインに関する著作権ならびに商標権の管理を行っています。
1932年の設立当初からのタリアセンフェローシップメンバーを含む、学生や芸術家の学生寮兼コミュニティとして使われています。

タリアセン

ウィスコンシン州スプリンググリーンのタリアセンとアリゾナ州スコッツデールのタリアセン・ウエストは、フランク・ロイド・ライトの傑作の一つと評価され、米国の歴史的建造物に指定されています。
タリアセン及びタリアセン・ウエストはフランク・ロイド・ライトの自邸兼スタジオ、そして学校のキャンパスとして使われていました。 これらの建物はフランク・ロイド・ライトの才能を如実に表しており、そこを訪れることには特別な意味があります。彼の有機的建築の理念を彼自身の作品を通して感じることができます。
それは現在もこれらの建物が設計当初の目的のまま、住居、作業場、教育施設として活用されているからです。 現在、タリアセンはフランク・ロイド・ライト建築学校の夏季キャンパスとして、タリアセン・ウエストは冬季キャンパスとして、またアーカイブズの国際本部として彼の作品を保存しています。

 

Taliesin ©1997 judith Bromiey | Taliesin West ©1997 judith Bromiey